ー 一つのアプリが使用できるまでに3週間かかったわけ ー |
1.まえがき |
2025年1月はじめに、パソコンのUSBポートに接続できるボードタイプのタブレット(板タブという)を購入した。このタブレットは、XPpen社のDeco01V2というものである。そして、このタブレットには株式会社PGN社のペイントソフト「openCanvas7」(以下、ペイントソフトという)が添付されていた。このペイントソフトは2000年7月に初版(バージョン1)がリリースして、添付されてきたものはバージョン7であった(openCanvas7という)。 |
タブレットを接続し、ペイントソフトをインストールした。また、このペイントソフトのマニュアルがダウンロードできる仕組みとなっていた。マニュアルを読んでびっくりした。とてもマニュアルという代物ではなく機能仕様書である。 |
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2.”わけ”の詳細 |
◆その1、ペイントソフトのマニュアルの目次は、ツールとウィンドウからなっていた。 |
ツールとして、ブラシ、消しゴム、図形塗りつぶし、塗りつぶし、グラデーション、選択、自動選択、マジック消しゴム、レイヤー移動、文字、切り抜き、スポイト、手のひら、などが並んでいる。つまり、こういったツールを用意していますということである。 |
ウィンドウとしては、カラー、色見本、ブラシサイズ、ショートカットコントロール、ショートカット、資料、ルーペ、イベントログ、ナビゲータ、情報、定規、ステータスバー、タブレット情報、レイヤー、選択範囲となっている。つまり、こういった画面を用意していますという意味である。 |
マニュアルは、ペイントソフトのツールとウィンドウ(画面)が記述されているだけで、ペイントソフトの使用方法などは記述されていない。 |
また、ペイントソフトが起動したときの起動画面(「メインウィンドウ」という)についての説明や初期設定が必要な事項とその方法などについては説明がない。 |
とりあえず、ペイントソフトを起動する。 |
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◆その2、ペイントソフトを起動すると「メインウィンドウ」が表示されるが、非常に複雑な表示であった。マニュアルには「メインウィンドウ」の構造についても、操作説明も記述がない。 |
「メインウィンドウ」の構造を理解するまでにかなりの時間を要した。最上段左端、openCanvasのロゴに続いて、ファイル、編集、画像、レイヤー、選択範囲、フィルタ、表示、イベント、ウィンドウ、ヘルプ、と並んでいる。これらは、「メニュー ウィンドウ」というらしいが、「メニューバー」ということにする。 |
「メインウィンドウ」には、キャンバスらしきものは見当たらない。どこに図形を描くんだろうかわからない。試行錯誤でやるしかない。 |
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◆その3、「メインウィンドウ」の中央に「新規作成」というウィンドウがあるのでここに注目する。これもどうやって操作したらいいのか悩まされた。A4サイズを入れて「作成」をクリックしたところ、A4サイズのキャンバスが表示された。ようやくキャンバスの表示の仕方がわかってきた。 |
あとで、わかったことであるが、パソコンのディスプレイの解像度を指定すればよかったようである。 |
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◆その4,ペンを使って、線を引こうとすると、ペン先と離れたところに線が描かれる。ペン先と実際に描画した線がずれるのである。タブレットの環境設定をしてないためと判明したが、わかるまでに相当の時間を要した。このとき、描いた線を「消しゴム」で消すことができないことも判明した。 |
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メニューバーの「編集」をクリックして、表示の一番下の「環境設定」をクリックすると「環境設定」の画面が表示される。 |
「環境設定」の画面には、「ツール」、「パレット」といった見出しがあり、下の方に辿っていくと「タブレット」とあるので、「タブレット」をクリックすると、右側に「種類」とあるので、「Wintab(W)」にチェックを付ける。「座標モード」では、「OS座標(O)」にチェックを付ける。そして、「OK」ボタンをクリックする。 |
これでペン先のずれは解消した。なお、「消しゴム」で消せないというトラブルもあったが、この「タブレット」の設定で「消しゴム」の問題も同時に解決した。 |
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◆その5、マニュアルを読んでいくと、「トラックバーをドラッグして」という記述がある。ところが、「トラックバー」についての説明が記述されていない。また悩む。 |
ツールに「ブラシ」がある。この「ブラシ」(「消しゴム」も同じ)の配下に、「ツールオプション」と「詳細設定」が配置されている。この「ツールオプション」と「詳細設定」において、例えば、ブラシサイズは数値化されているが、その数値の左側に水色のバー(横棒)が配置されており、このバーのことを「トラックバー」というようだ。この「トラックバー」を左右に移動(ドラッグ)させることによって設定値を変えることができる仕組みになっている。こういうことはマニュアルに記述してほしい。 |
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◆その6、図形を描けるようになったので、図形に色付けすることをしたいが、どのような手順でやればよいのか、マニュアルを見てもわからない。「ツール」には「図形塗りつぶし」、「塗りつぶし」、「選択」とか「自動選択」というものがあり、これらのツールを使えばよいと想像できた。だが、これらのツールをどうやって、どの順で使って行けばよいのかは記述がない。 |
試行錯誤の結果、図形に色を塗る手順は以下のようであるとわかった。 |
手順1、ツールの「自動選択」をクリックする |
手順2、図形の色を塗りたいところをクリックする。そうすると、図形の周囲にアンチエイリアス(ぎざぎざの輪郭線)がつく |
手順3、ツールの「選択」をクリックして、表示されるツールオプションの「自由選択」と「選択範囲と共通」を指定する(図形は自由描画であるから) |
手順4、色見本から塗りたい色を指定する |
手順5、ツールの「塗りつぶし」をクリックし、そのまま図形にドラッグしていく |
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◆その7、次の図形に色を塗ろうとしたときに、前に色を塗った図形のアンチエイリアスが消えないということがある。 |
この頃になって、web上に「ペイントソフトopenCanvasヘルプ」というものがあるとわかった。ここには、「ショートカット一覧」があり、ショートカットキーを使えばよいこともわかった。こういったものがあることはマニュアルに記述すべき事項である。 |
キーボードの「Ctrl」キーと「D」キーを同時に押下することにより解決できる。 |
なお、「ペイントソフトopenCanvasヘルプ」は、openCanvas6(バージョン6)に準拠したものであるとなっている。私が使用しているopenCanvas7とどう違うかはわからない。参考までにURLを記載してお。https://www.portalgraphics.net/oc/help/oc6.html |
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◆その8、ツールの「ブラシ」には「ブラシリスト」が表示されている。標準で使用できる種類として、ペン、消しゴム(やわらか)、消しゴム(硬い)、不透明水彩、透明水彩、エアーブラシ、ぼかし、指先の8種類となっている。これをいろいろいじくっている間に、ブラシリストの項目が乱れて、壊れてしまった。さてどうしようかと思っていると、通常パソコンなどでは「出荷時に戻す」という機能がある。 |
ブラシリストの右上の「三」をクリックすると、メニューが表示され、その中に「初期設定に戻す」という項目があり、クリックすると初期状態に戻すことができた。 |
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◆その9、操作している過程で、突然、「色見本」が表示されないという事態に遭遇した。 |
これもショートカットキーにより解決できる。「Ctrl」キーと数字「6」キーを同時に押下することにより解決する。 |
なお、メニューバーの「ウィンドウ」をクリックすると、表示される項目の中に「色見本」という項目があり、チェックが漏れているので、付ければ解決する。 |
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◆その10、これも突然起きることがある。「ブラシリスト」が消えてしまうことがある。なぜ消えたかはわからない。 |
メニューバーの「ウィンドウ」をクリックして、表示されるメニューに「ブラシリスト」という項目があり、チェックが漏れているので、チェックを付ければ解決する。 |
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◆その11、ブラシリストの標準ブラシは8種類であるが、さらに下の方にドラッグしていくと、たくさんのブラシ名が出てくる。ところがクリックしただけでは、使用できない。右クリックしても駄目である。 |
これはホルダーである。よく見ると標準ブラシと違うことに気が付く。先頭のアイコンをクリックするとたくさんのブラシが表示される。これで標準ブラシと同様に使用できる。このようなことも試行錯誤してようやくわかることである。 |
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◆その12、2回目以降、openCanvasを起動しても、「新規作成」画面は表示されない。 |
その時は、メニューバーの「ファイル」をクリックして、「新規作成」をクリックする。 |
なお、作成した作図を「名前を付けて保存」した場合には、「開く」を操作するのはパソコンの場合と同様である。 |
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◆その13、一番大きな問題は、マニュアルがopenCanvasを使用するユーザーの目線で記述されていないことである。マニュアルがあり、「ペイントソフトopenCanvasヘルプ」がる。こういったものがあることもマニュアルには記述がない。つまり、体系化がされていないことである。まだWeb上には、いろいろ情報が出ているのかもしれないが、断片的にばらばらに存在していてつながりがないから利用者には目につきにくいし、戸惑わせているように思われる。体系化と整理が必要である。 |
マニュアルとか取扱説明書などは設計者が記述すると失敗する。利用者に作成してもらうことである。設計者と利用者では、作成の視点が違うのである。 |
openCanvasはすばらしい製品であると思うが、提供されているマニュアルがあまりにもお粗末な代物であるとしか言いようがない。マニュアルは製品の顔であり、製品の一部なのである。 |
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