品質管理とは
使用教材
なぜ、事故は繰り返されるのか(その1)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その2)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その3)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その4) 
なぜ、事故は繰り返されるのか(その5)
なぜ、18年間無事故だったのか
なぜ、事故は繰り返されるのか(その7)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その8)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その9)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その10)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その11)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その12)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その13)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その14)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その15)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その16)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その17)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その18)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その19)
参考文献
−品川区における新型コロナワクチン予約における混乱−
(手順書、マニュアルなどは使用者の立場になって作成すること)
1.コロナワクチン予約初日の状況
(1)国内いたるところで、新型コロナワクチンの予約が75歳以上の人を対象にして行われている。品川区でも2021年5月19日午前10時から開始された。事前に予約番号と「品川区新型コロナウイルスワクチン接種 予約方法のご案内」という手順書が配布された。予約方法は電話とWEBがある。この手順書にはURLも記載されてあった。パソコンを持ってインターネットができる人はWEBから予約したであろう。
(2)10時きっかりに手順書に記載されてあったURLをパソコンに打ち込んだ。ところが、10時の開始直後から、下のような表示が出てネットに接続できない。
まだ開始したばかりというのに、こんな表示がされ、「接続制限されています」という表示もされていた。なぜだろうか。これは何か作為的にやっているとしか思えない。でも仕方がないから、タイミングをみて接続を試みること10回ぐらい続けたところ、15時過ぎになって繋がった。
(3)手順書に従って、操作してびっくりした。操作している途中で、上記の「ただいまWEBサイトへのアクセスが大変混みあっております」という表示がたびたび出て、いままで表示されていた表示画面が消えてしまうのである。インターネットを操作していてWEBサイトが混雑することはいくらでもある。しかし、パソコンに表示されていたものが消えてしまうことはまずない。
(4)そのたびに、URLを入れなおさなければならない。「ユーザフォームに進む」をクリックするところからはいるのである。ここで大混乱が起きたのである。「IDまたはパスワードが間違っています」という表示が出るのである。「一体どうすりゃいいんだ」と、パニックになる。どうしてこうなるかについて解析し問題点を明らかにしていきたい。明らかに、システムの欠陥である。
2.操作の流れ
手順1.「品川区コロナワクチン接種WEB予約ページ」繋がると下の画面が表示される。
手順2.ここで、「予約フォームに進む」をクリックする。
なお、ここに表示した画面は、配布された手順書によるもので、実際の画面とは異なるところがある。
ここで、ID欄には、指定された16文字(数字)からなる予約番号を入力する。当然ながらこの数字は1人ずつ異なる。パスワード欄には生年月日を入力する。「ログイン」ボタンをクリックすると次のページにいく。この画面に「パスワード」という用語が使われていることが問題なのである。これは正式のパスワードではないのである。だから、「仮パスワード」というべきである。もっとはっきり言えば「生年月日」といえばもっとわかりやすい。
手順3.ここで、正式なパスワードとして、英数字10桁以上の文字を入力して、「送信」ボタンをクリックする。
ところが、「送信」ボタンをクリックしたとたんに、「ただいまWEBサイトへのアクセスが大変混みあっております」という表示が出て、いままで表示されていた表示画面が消えてしまうのである。「なんだ、どうなったんだ。どうすりゃいいんだ。」とパニックになる。仕方がないからまたURLを入力するが、繋がらない。我慢しながら繰り返し、URLを入れていく。ここで、問題なのは手順3が有効だったのか、パスワードの設定がされたのか利用者にはわからないのである。
手順4.仕方がないから、URLを入れなおすしか手段はない。URLを入力すると、最初の画面が表示される。もう一度最初からやり直せというんだなと思いながら、「予約フォームに進む」をクリックする。
手順5.今度は、「ログイン」画面が表示され、IDとパスワードの入力を要求される。
そこで、IDとして16桁の予約番号を入力し、パスワードとして生年月日を入力すると、「IDまたはパスワードが間違っています」と表示される。その間にも、「ただいまWEBサイトへのアクセスが大変混みあっております」という表示が出て、いらいらしながら、またURLを入力し最初からやり直していく。
手順6.そのうちに、ここで要求されているパスワードとは、手順3で設定したパスワードだと気が付く。そこでようやく次のステップに行ける。
手順7.「詳細情報・ワクチン接種予約」ボタンが表示されるので、ここをクリックする。
手順8.「予約」をクリックせよとある。同じようなボタンが続いているが、これはおかしい。手順7で「ワクチン予約」ボタンをクリックしているのだから、本来ならこの手順は不要のはずだ。システム設計上の問題と思われる。
手順9.「施設選択」の場面は非常に分かりにくい。本来なら「施設選択」ではなく、「施設および実施日一覧表示」とあるべきである。「施設選択」ボタンをクリックするとどんな表示が出るのかわからないから非常に不安であった。また、手順書にも何の説明も記述していないのも不親切である。
仕方がないから「施設選択」ボタンをクリックする。
手順10.「施設選択」をクリックすると、施設名と実施日が表示される。ところが、これがまた極めて分かりにくい。同じ施設名がばたばたと表示され、それぞれに異なる実施日が記載されてある。なかなか自分が希望する施設名にたどりつけない。その一覧の上にタブがあるからこれをクリックすると希望する施設名がようやくつかめた。なぜ、こういった仕組みとなっていることを手順書に記載していないのか、不思議でならない。希望する施設名の希望する実施日をクリックする。
手順11.手順書には、『ご希望の「施設名・住所」もしくは「年月日」を入力・選択』とあるが、実際はこうなっていない。「施設選択」ボタンをクリックして、表示された施設名・実施日一覧から希望するものを選択してクリックすればよいのである。やはり、システム設計の問題である。また、「検索」ボタンなどはないのである。
手順12.この手順は、間違っている。「メールアドレス」欄と「電話番号」欄はあっても「名前」欄はない。そもそもなぜ名前を入力しなければいけないのかわからない。
手順13.予約の確認を求められるので「はい」をクリックする
手順14.「登録情報」をクリックすると、「詳細情報」が表示される。
この詳細情報には、氏名、接種場所名、接種場所の住所、接種予定日、受付開始時刻、受付終了時刻などが記載されてあるので、必要に応じて印刷しておく。
3.混乱の原因
(1)操作の途中でネットが切れて、「ただいまWEBサイトへのアクセスが大変混みあっております」という表示が出て、いままで表示されていた表示画面が消えてしまうことである。サーバーがパンクしたとき、操作していた画面を消さないで、サーバーに接続できない状態ならば、使用者は自分がやっていたことが見えているから、サーバーに繋がるまで待っていればよい。
(2)ところが、また、URLを入れなおして起動しなおししなければならないし、最初の状態に戻ってしまい、「予約フォームに進む」から行かなければならない。
(3)システム設計者は、途中でサーバーとの接続が切れることを想定していなかったものと思われる。
(4)「予約フォームに進む」をクリックしたときに、ログイン画面が表示されて利用者は戸惑うのである。
(5)もう1つの混乱のもとは、「パスワード」である。IDは指定された予約番号であるから問題はないが、この画面での「パスワード」は、本人の生年月日である。これはパスワードではなく、「仮パスワード」というべきである。それでも紛らわしいので、「生年月日」とすべきである。しかも手順書には「ID・パスワード入力後、「ログイン」ボタンを押す」と紛らわしい表現を使用している。
(6)したがって、操作の途中でネットが切れたときに、「予約フォームに進む」をクリックしたときに表示される「ログイン画面」におけるパスワードが生年月日と勘違いを起こすのである。
(7)さらに厄介なことは、B『「詳細情報・ワクチン接種予約」を押す』と、C『「予約」を押す』という画面であることである。
このBの画面は、「接種場所」、「接種会場」を検索するものであり、現実にそうなっている。したがって、「詳細情報・ワクチン接種予約」ではない。これは明らかに設計の誤りであろう。
(8)B『「詳細情報・ワクチン接種予約」を押す』をクリックしたときに接種場所と実施日がリスト形式で表示される。タブキーをクリックすることにより、次の情報を表示させているが、手順書に何の説明もないために大変見にくいものとなっている。タブキーでページチェンジさせるより、スクロール形式の方が見やすいし検索もしやすい。
(9)ワクチン予約システム、配布された手順書いずれも、利用者の目線でできていない。ワクチンの予約という役目柄たくさんの人、インターネットを使いこんだ人もいれば、そうでない人もいる。配布された手順書も説明が不足している。使用者の立場に立って見直し、改善してもらいたい。また、これから多くの人が利用するシステムであるから、使いやすいように改善してもらいたい。