品質管理とは
品質管理の講義で使用している教材
なぜ、事故は繰り返されるのか(その1)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その2)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その3)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その4)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その5)
なぜ、18年間無事故だったのか
なぜ、事故は繰り返されるのか(その7)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その8)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その9)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その10)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その11)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その12)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その13
なぜ、事故は繰り返されるのか(その14)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その15)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その16)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その17)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その18)
なぜ、事故は繰り返されるのか(その19)
参考文献
−なぜ18年間人身事故がなかったのか、安全性を達成できたわけ−
 このシリーズは、事故について記述しているが、その中で唯一の成功事例である。
 参考文献を読むと鉄道事業における安全性・信頼性の達成に向けて並々ならぬ工夫と努力があらわれていることがよくわかる。当時の北越急行社長が社長に就任される前から手掛けてきたことであるが、やればできることの証明でもあり、無事故達成に対する執念と安全性・信頼性の追求への信念が表れている。
1.北越急行とは
 「北越急行」とは、新潟県南魚沼市の六日町駅を起点とし、新潟県上越市犀潟駅(さいがたえき)までを結ぶ(全長59.5km)(この線路を「ほくほく線」という)、北越急行が運営する鉄道路線であり、新潟県でほくほく線を運営する第3セクター方式の鉄道会社である。
ほくほく線のルート(参考資料1.P33より引用転載
 開業から18年間“はくたか”に関するできごとはたくさんあったが、社会を震撼とさせるような事故は発生しなかったのみならず、累積乗車人員は約4000万人(平成25年4月現在)に達しており、首都圏と北陸の輸送使命を果たしている。その意味で成功と言える。なぜ成功したかを参考文献から読み取ると以下のようになるが、一言でいえば、経営者以下全社を挙げて「安全・安心な鉄道を目指し、輸送品質の向上」に徹した成果といえる。
 北越急行“はくたか”は、2015年(平成27年)3月14日、北陸新幹線(長野―金沢)の営業運転開始に伴って、3月13日をもって終了した。
2.北越急行の特徴
1)山岳部の新潟県魚沼地方の六日町と日本海側の頸城(くびき)をほとんど一直線に結んでおり、長大トンネルの連続(トンネル区間が全体の70%)である
2)最高時速160km/hのスーパー特急を走らせることをしないと経営的に生き残れないという経営環境にあった
3)そのために高規格化を戦略としなければならなかった
3.高規格化として実施したこと
「高規格化」とは、狭軌軌道(1067mm)で、最高速度160km/hを達成するための安全対策・信頼性対策にほかならない。
1)軌道・路盤
@基本的に踏切を設置しない(一部、例外として、JRとの合流地点に3か所の踏切がある)
A軌道の下部構造物をコンクリート構造物または路盤とし、新幹線と同じ60kg/mのレールを敷設
B砂利道床を採用したところは、築堤上にアスファルトを敷き固めた
C行き違い駅のポイントは、高速で通過できるように一線スルー方式とした
2)電化設備
@高速運転での架線はコンパウンドカテナリーとし、トンネルなど困難なところは、シンプルカテナリーを2本連ねた「ツインシンプル架線」とした
A将来の増発に備えて変電所を7か所設置
B当地は有数な豪雪地であるので、基本的にはトランスなどの重電機部品はすべて屋内に収容
3)信号設備
@鉄道研究所などで研究されたGG(高速進行)信号方式を採用
A6灯式信号機を設けて5つの信号を現示
6灯式信号機(参考資料2.から引用転載
4)運転保安設備・無線設備
@JR主要幹線で使用しているATS−P型自動列車停止装置を採用
Aほくほく線と接続するJR信越線、上越線、北陸線ではATS−SN型を採用しているので、両方の保安装置を搭載
B無線設備では、JR主要幹線で使用しているB型列車無線と全線にLCX(漏洩同軸ケーブル)を設置し、全線のどこからでも指令室と通話可能
CJR線ではC型乗務員無線を使用しているので、ほくほく線ではBC型2方式を併設
5)列車制御
@列車のコントロールは六日町の指令所から行う
A設備はPRC(プログラム進路制御)付CTC(集中列車制御装置)で行う
B天候の乱れや自然災害発生時のダイヤの乱れや行き違いの変更については、六日町の指令所の司令員が手動で対応
6)雪対策
@雪を含む日々発生する事象に対して、指令室からリモートコントロールで対応
A非常時に2本の列車を留置できる屋根付きの収容庫を設置
7)特急用車両
@車両は、合計8編成(JR東日本:1,JR西日本:5,北越急行:2)
A北越急行が保有する車両のメンテナンスはJR西日本に委託
Bブレーキ装置は、踏面ブレーキ方式ではなく、キャリパ方式(ディスクブレーキの一種)を採用
5.参考文献
参考資料1.鉄道ファン2015.2 P30〜53「北越急行“はくたか”の時代〜都市間輸送の使命を果たした北越急行〜 前北越急行代表取締役社長 大熊孝夫」
以下の資料につきましては、北越急行株式会社ホームページがリニュアルされ、参照できません。そこで、「ほくほく博士」の作者であり、前北越急行株式会社代表取締役社長 大熊孝夫氏のご厚意により参照できることになりました。クリックしますとPDF版として表示されます。
考資料2.北越急行株式会社ホームページ(当時)「ほくほく博士」−ほくほく線の高速運転を支える設備
参考資料3.北越急行株式会社ホームページ(当時)「ほくほく博士」−運行管理指令
参考資料4.北越急行株式会社ホームページ(当時)「ほくほく博士」−雪と闘うほくほく線
参考資料5.北越急行株式会社ホームページ(当時)「ほくほく博士」−安全・安心な鉄道を目指して
参考資料6.北越急行株式会社ホームページ(当時)「ほくほく博士」−滑るように列車を運転するため線路・車両に注ぐ技術者の愛情 
なお、参考資料6につきましては、サイズが大きいので、2つに分割して掲載します。
参考資料6(その1):ページ1からページ15まで
参考資料6(その2):ページ16〜ページ29まで